活版印刷で使用する紙

 

これまで活版印刷について書いて来ましたが、

その印刷する紙についても実はこだわっております。

今回の名刺に使用した紙は「フリッター・220kg」。

ふわふわと波うつイメージでちょっと独特のテイスト。

220kgとは、紙の全紙1,000枚での重さの事を言い、

私達は「紙厚」と言っています。

活版印刷の場合、活字を押し当てるので、この厚さが薄いと印刷出来ません。

220kgは厚い方ですが(来年細工をしようと企んでこの厚さにしています。笑)、

180kg位がちょうど良いのではと個人的には思います。

ちなみに、年賀状はミューズミルクという紙を使用し、

海のミルクと言われる「牡蠣」をイメージして選択しました。

牡蠣は冬の味覚でもありますからね^^

デザインも「海」のモチーフにしてあります。

これは、いつもお取引させて頂いている方のみお送りさせて頂いておりますのでご了承を。

活版印刷を知っている印刷会社の方々にはじっくり見られてしまうこの名刺と年賀状。

紙は平和紙業さん、印刷は弘陽さんに毎回お世話になっております。

鋳造は築地活字さんで今でも見学出来ますので、ご興味のある方はどうぞ足を運んでみてはいかがでしょうか。

活字の鋳造(ちゅうぞう)その2:母型

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度々出てくる「母型(ぼけい)」。

活字の字面部分のもとになる凹版の文字の原型が「活字母型」です。

印刷屋さんでは母型箪笥の中できれいに整列し、出番が来るのを静かに待っています。

母型の製造方法には「パンチ式」「電胎(電鋳)法」「彫刻法」の3種類があります。

「パンチ」母型は活字と同じ凸型の父型を母型材に直接打ち込んで母型を量産します。

主に文字数・画数の少ない欧文活字で用いる製造法です。

このパンチ式は主に印刷屋さんで使用します。

「電胎(電鋳)法」母型は、種字からメッキの技術で型取りした字面の型(ガハラ、ガラ版)を

真鍮の角材(マテ材)にはめこんで作ります。

このガハラとマテ材の金属の色の違いが電胎母型と他の製造法母型とを見分けるひとつの目安になります。

「彫刻法」の母型は大きめに製造された文字のパターンをベントン彫刻機という機械を用いて、

パントグラフの原理で各活字サイズの縮小しながらマテ材に直接彫ったものです。

この「彫刻法」は日本で唯一、清水金之助さんと言う方が彫られておりましたが、

すでにお亡くなりになり、日本ではこの方の彫った「母型」が最後の母型になるやもしれません。

活字の鋳造(ちゅうぞう)その1

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前回、活字はまだ鋳造されていると申しましたが、

どうやって出来ているか。

もちろん、これも手作業の職人技!

活字は活字地金(鉛とアンチモンと錫(スズ)の配合)から製造します。

鉛だけだとやわらかすぎ。だから、アンチモンを入れ、艶をだし高貴にみせるため錫(スズ)を少し配合しています。

より固い活字。例えば、スーパー活字と呼ばれる、片押しで製本屋さんが良く使用する活字やタイプ活字は鉛ではなく、亜鉛を使用します。

この地金を釜に入れて、ガス又は電熱で40〜60分位溶かし、温度が350℃〜400℃になったら活字の鋳造!

鉛の液体を釜の錫口からだします。その時、鉛とまわりの機会の鉄部分をパイプを使って水道水を流しながら冷やすと同時に前面にある母型にあてると活字が出来上がるのです。

機械はモーターを利用しています。

大きい活字は機械の回転を遅く、小さい活字は回転を早く。

…ってこの回転の速度、実は職人さんが熟練技で感覚でハンドルを手で回して作るのです!

もう、これは慣れと感覚なのでしょう。

私もやってみましたが、いやはや、難しい。。。

出来上がった活字を見て自分でも分るほど「あ。ヘタクソ。」って思いました。。。

ちなみに、失敗した活字は釜の中に入れてまた溶かせます(笑)

活版印刷

KATUJI

最近、20代世代で見直されている「活版印刷」

私の名刺も例に漏れず、活版印刷で印刷しました。

活版印刷と言っても、鉛版・線画凸版、凹版・樹脂版があり、

今日は樹脂版が手軽でそちらが主流のように思います。

印刷では一昔前、DTP(デスクトップ・パブリッシング)が普及する前。

今はもう、デジタル製版が主流になって、

その存在を知っている方は、ほとんどいらっしゃらないと思います。

「写植屋さん」と言って活字を「組版(くみはん)」して頂き、

そこへ、インクを盛り、刷って頂くのですが、これがまた、職人技で!

自分でやろうとしても、なかなか上手く出来ません。。。

また、一枚一枚が手作業なのでこの世に1つも同じ物が刷り上がりません。

私の名刺は「鉛版」を腐食させ、凸版印刷でレタープレス(日本ではテキンと呼びます)で刷って頂きました。

年賀状は「文字組」をして頂き活字を一本一本丁寧に、

そして、文字と文字の間を均一にして印刷機にセットして刷って頂きました。

この時立ち会いもしたのですが、すべてが手作業なので、

印刷機に文字組みした活字をセットし、試し刷りで色の出具合、

文字の刷れやズレを見るのですが、「ちょっとズレてるな〜」と言うと

職人さんが「あいよ!」と紙の厚さなどでチョットのズレを直してくれる。

本当に神業です!

職人さん達はどんどん 高齢化も進んでおり、廃業している方々もいます。

鋳造はまだしておりますが、日本で唯一「母型」を掘る方もお亡くなりになられたので、

今ある「母型」が摩耗して無くなったら、造る術が無くなってしまいます。

長く続いている活版印刷の歴史、ここで幕を下ろすのでしょうか。。。